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中途失明者のリハビリ支援

光を失った人に再び蘇生の人生を

1999.12

白杖で歩けるように訓練

歩行指導者を養成・配置。公明党市議の主張で実現!白杖で歩けるように訓練

三重県四日市市では、昨年6月から厚生省認定の資格を取得した白杖(はくじょう)歩行指導者による訓練がスタートし、視覚障害者から大喜びされている。

同市では、社会福祉協議会の職員を1997年4月から半年間、大阪市にある日本ライトハウスに派遣、資格取得させた。これは市議会公明党の市川悦子議員が一般質問で提案したことが実ったもの。

歩行指導員の訓練を同行リポートするとともに、日本ライトハウスの歩行指導員養成部長の芝田裕一さんに歩行指導者の普及状況、今後の課題などをインタビューした。

「自宅からバスまでの約100メートルを白杖を頼りに単独歩行できるようになるための訓練をこれまでしてきました。今日はテストをします。まず、記憶した地図と注意すべき障害物、目印をいってください。それから実際に歩いてもらいます」四日市市社会福祉協議会の障害者福祉センターで障害者のデイサービス事業の一環として在宅訓練に精を出す歩行指導者・佐伯宏幸さんの言葉である。

訓練を受けるのは、同市大字泊村に住む東郷重子さん(66)。10年前に緑内障などで全盲となったが、ご主人の手引きにより生活していた。1994年にご主人が死亡して以来、家にとじこもっていた時期もあったが、月1回は、近鉄四日市駅の近くの総合会館に通い始めた。行きはタクシー、帰りはガイドヘルパーに依存していたという。しかし、ホームヘルパーから歩行指導者の存在を聞き「自分の力で歩いてみたい」と決意を固め、今年10月から5回の訓練を受けてきた。

テストで東郷さんは記憶している地図と障害物などを発表し、実際に自宅からバス停まで往復の歩行に挑戦、見事にクリアした。「東郷さんは白杖の使い方もうまいし、真っすぐ、正しい歩き方ができ、一番難しい横断歩道も渡れました。テストは合格です」とほめる佐伯さん。「特に横断歩道を渡るのが怖かったが、訓練を受けて自信が出てきて、自分の世界が広がったような感じがします」と、東郷さんはうれしそうに感謝の言葉を語っていた。

全国の視覚障害者は30万5000人と推定される。なかでも人生半ばで視力を失う中途失明者は、糖尿病や交通事故者の増加とともに年々増加し、視覚障害者全体の65%を占める。日常生活での情報の80%〜90%は視覚からのものといわれる。中途失明者の多くの情報を遮断されたショックは大きく、生きる気力すら失ってしまう人もいる。中途失明者の4人に1人は家に閉じこもりきりという状況が、それを如実に物語っている。

視覚障害者の歩行には大きく分けて、(1)ガイドヘルパーなどの手引きによる歩行(2)盲導犬による歩行(3)白杖による歩行の三種類がある。四日市市の場合、視覚障害者が598人いるが、ガイドヘルパーが40人、盲導犬の貸与が4人、歩行指導者が1人という寒い状況。リハビリ体制の整備が強く望まれていた。

歩行指導者の佐伯さんは、障害者デイサービス事業の一環として毎週、火曜日の午前と午後に一人2時間の訓練に当たり、合わせて3人の視覚障害者の歩行訓練を担当している。公共交通機関の利用料金を除いて、歩行指導者による訓練の利用は無料である。昨年6月から現在まで約1年半で3人が訓練を終了、現在3人が訓練中で、待機者が1人いるという。

佐伯さんは、今後の受講者の掘り起こし対策として「視覚障害者に対し、歩行訓練を受けたいかどうかのアンケートの実施と、市民病院・眼科などを訪問し、病院と連携した歩行訓練をPRしていきたい」と語る。

市議会公明党の市川議員は94年6月定例会以来、3回の一般質問で歩行指導者の養成を提案。なかでも、94年12月定例会では「障害者基本法第10条に『国及び地方公共団体は障害者の家庭を訪問するなど、必要な訓練を行なわれるよう施策を講じなければならない』とあるが、歩行指導員は県内にゼロであり、プロの職員が必要」と指摘し、日本ライトハウスへの職員派遣を強く主張してきた。

日本ライトハウス養成部長芝田裕一氏に聞く

1.歩行者指導の養成はいつごろから始まり、養成機関はどこにありますか?

芝田養成部長 歩行指導者の養成は、わが日本ライトハウスが1970年にアメリカから技術を導入して始めたのが全国初で、今年10月末で396人が資格を取得しました。また、93年からは埼玉県所沢市に国立身体障害者リハビリテーションセンターがオープンし、99人が修了。名古屋市の珪山学園・日本医療福祉専門学校が98年からスタートし、10人が修了しました。また、海外の養成機関修了も全国で4人おります。

2.歩行指導者の県別の配置はどうですか?

芝田養成部長 都道府県によって大きな格差があります。例えば、大阪府では歩行指導者が48人もおります。在宅訓練でいうと日本ライトハウスが堺市から委託されているのをはじめ、大阪府視覚障害者福祉協会に6人、大阪市身体障害者団体協議会に3人、豊中市障害福祉センターに1人おり、それぞれフル活動しております。これに対して歩行者指導員が1人もいない県が岩手、秋田、群馬、新潟、佐賀、熊本と6県にも上がります。指導員が盲学校にいるだけの県が青森、山形、宮城、富山、和歌山、香川の6県です。

3.日本ライトハウスの歩行指導者養成は、どのようなシステムですか?

芝田養成部長 歩行指導者養成家庭は、基礎コースが毎年4月から10月までの半年間で、後期の応用コースが10月から翌年3月までです。厚生省の委託を受けた事業であり、授業料は無料です。定員は原則15人で、全国各地の施設職員を優先して入講させています。半年で教材費が9万円、宿舎として民間マンションの賃貸料(光熱費、共益費、テレビ・エアコン・電話の借り代金を含む)が半年で約45万円です。

4.授業内容はどうですか?

芝田養成部長 基礎コースでは講義として視覚障害リハビリ論、学習心理学、眼科学、運動学などで、実践科目としてアイマスクをしての歩行実技などです。朝9時から午後5時まで週5日、約800時間相当のカリキュラムを組んでおります。毎週1〜2本のリポート提出や、テスト、論文などかなり厳しい内容です。

5.歩行指導者普及のための課題は?

芝田養成部長 全国の各自治体に歩行指導者のいる障害者施設を多く設置してほしいですね。そして、最も重要なことは視覚障害者が自ら立ち上がって「歩行訓練を受けたい」と声を出すことです。また、各自治体は歩行指導者を置いて、身体障害者手帳の交付時に「歩行訓練を受けたい場合は申し出てください」などと、必ず一声掛けるようにすべきです。

公明新聞記

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